iid Media Naviのメインコンテンツである「イードのソトウチ」。これまで多くのOG/OBにイードについて語っていただきました。本稿は、イードのM&Aにされた新媒体の責任者を務め、メディア事業全体の成長に大きく寄与し、現在はダイヤモンド社で活躍する土屋 篤司さんにイードのソトウチ番外編として特別寄稿いただいたものです。
ドラえもんを通じて知る「物語の力」とその重要性とは?ぜひ最後まで御覧ください。
最近、子供とよく『ドラえもん』の映画を観ます。
10本くらい見たときに実感したのですが、物語の型が決まっているんですね。
■ドラえもん映画の物語の型
のび太の日常
↓
ドラえもんの道具と仲間たちで、非日常に飛び出す
↓
トラブルに巻き込まれる、新しい仲間と敵が出現する
↓
新しい仲間と助け合い、問題を解決する
↓
新しい仲間と別れ、のび太といつもの仲間たちが心身ともに成長する
物語の型は決まっているのに、作品によって面白さが違います。なんでだろう。。。
例えば、ドラえもんの映画では『のび太の宝島』がお気に入りなのですが、脚本をてがけるのは『君の名は。』『天気の子』などで知られるプロデューサー、川村元気さんです。
他にも、トイストーリーシリーズはすごくよくできていると思います。ディズニープラスにあるトイストーリーの7分程度の短編でも、キレのある物語が展開され、圧倒されます。
■…で、自分がいま編集担当している論文が
これなんですが
ここでは、物語を作成すべし、と言っています。
論旨は「サイバー攻撃に対処するためにはIT部門ではなくて経営者が判断した方が効果があるよね。細かい予測をするためにも物語を作ってみるといいよね」というようなものです。
ここでも「物語の重要性」を説いている…これってあらゆることに共通じゃないかと考えました。
■不透明な時代の物語の力
新型コロナウイルスで今まで以上に未来が不透明です。
この記事を読んでいる人は、イード社に関係する人たちのはずなので、メディアに関わっている方が多いと思っていますが、営業して売り上げを作るにしても、web媒体を作るにしても、コンテンツをひとつ作るにしても、、、そこには物語がありますよね。
「物語をつくり、磨き上げていくこと」は、困った時に自分自身を助けてくれる、重要な意思決定の軸にもなっていそうです。
で、この原稿を書きながら調べたのですが、やっぱりありました。過去に似たような話が。
2017年くらいからマーケティング界隈では「ストーリーよりもナラティブ」ということが言われているようです。ナラティブはストーリーよりも主観的な感じでしょうか。個人的なイメージでは、客観性の高いストーリーも非常に大事なので、ストーリーとナラティブを組み合わせて、物語ることができるのが理想な気がします。
■いきなり物語を作るのは大変だなあ、と思わなくてよくて
物語って大事だよなーという今回の原稿、同じような主旨の文章がそこら中にありました。みんな似たようなことを言ってますねー、、、結局、発見した!と思っても、大体過去にあることだったりして。
でも、真似するのは大事で、似たような型に当てはめて、そこからオリジナルにするためにちょっと手を加えれば良いと思っています。
今回の原稿のオリジナリティは、イードの関係者の方々が読む前提で書いていることです。特に若い人(主に20代)向けですね。
■夢中になって物語を描ければ最強かも
夢中な人にはなかなか敵わないなーと以前から考えていて、物語を夢中になって描く人でいれば、いいんじゃないかなぁと思いました。
夢中になる足がかりとして、イードではPLを利用するのがいいですよね。PLが公開されていて、誰でも、そしてなるべく早くPL責任者になっていく必要があって。PLの数字には、いろんな物語が反映されている。もちろん利益をあげる前提で。
真っ赤っかなPLをどう黒字にするか、、、自分の人件費がなければ黒字なんだけどなー、、、みたいなことを試行錯誤できたのはすごくよかったです。人間が一人食える状態のPLを成立させることの難しさたるや。
数字という意味では例えばGoogleアナリティクスにもユーザーの物語が反映されています。数字を見るということはそこにある物語を知るということで、これはイードで学べた大事なことだと思います。
また、イードにいたときにM&Aで新規媒体の責任者になり四苦八苦したのですが、当時、事業を曲がりなりにもグロースできたのも、考えてみるとシンプルなビジネスの物語である、安く買って高く売る、ということの応用でした。
ビジネスモデルの持続可能性には難があったので、そこに関しても結構大きな学びがありました。短期的に生き続けることと、長期的に価値を積み重ねることの組み合わせというか。
いずれにしても数字は、夢中になって物語をつくるために欠かせない道具という気がしています。
そういえば、「ノンタン」も物語の型がありますね。ノンタンは暗唱できるくらい何度も読み込んでいて「ここはこうした方がもっと面白い気がする」という改善案が自然に浮かんできます。もしかすると反復することで、オリジナリティが芽生えてくるのかもしれません。これはまた別の議論かもしれないですが。
■経歴
土屋 篤司
新卒でテレビの制作会社、その後、新聞記者を経て、イード社レスポンス編集部に参加。のちM&A媒体の責任者など(現状のイードでいう部長職)。
世界中のモーターショーをめぐり、ニュース配信交渉では世界のメディアとたくさん会いました。
震災時は現地取材なども実施(【特集クルマと震災】法人需要急増でレンタカーが足りない!)
M&Aによる新規媒体の事業責任者として、黒字転換を実現。
現職はダイヤモンド社にて、DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー編集部に所属。書籍、雑誌、webと幅広くサービスを展開している中で、主にweb周辺を担当しています。
【イードのソトウチ】これまでの連載
◆第1回 イードはチャレンジし続けられる会社…ママリ編集長・湯浅氏
◆第2回 一歩踏み込んだアクションをとること、それが私の「メディア」…ハフポスト日本版・中田さん
◆第3回 「編集」という仕事のフレームワークが独自の武器に…インテグレート・北島友和さん
◆第4回 自由と責任は表裏一体…VOYAGE MARKETING・秋葉友樹さんインタビュー
◆第5回 コンテンツは課題解決の手段、ビジネスに直結する…エネチェンジ・三友直樹さんインタビュー
◆第6回 よく仕事をしよく遊ぶバイタリティがビジネスに!片山幸弥さんインタビュー
◆第7回 根っこをブラさずに好きなものを広めていく…ヤフー麻生裕一さんインタビュー